こんな看板がいたるところで目につきます。
もちろん猫背は見た目も良くないし、痛みやしびれも出てきやすそうな感じです。
その通りです。
The Janda Approachという理学療法の方法があります。そこには「上位交差症候群」という考え方があります。
p52 Upper-Crossed Syndrome Figure4.2
(Assessment and Treatment of Muscle Imbalance: The Janda Approach; Phil Page, Clare C.Frank, Robert Lardner)
良い本です。マストバイ。2013年に翻訳も出版されています。
上の図がそれです。まさしく猫背ですね。こんな姿勢になりたいと思う人はいないでしょう。
上図の左側の上半身の絵を見てください。左上から右下への直線は筋肉の弱りを示しています。左上にあるのが頸部屈筋群の弱化です。さらに右下は菱形筋と下部僧帽筋の弱化です。
右上から左下への直線は硬くなった筋、短縮した筋を表します。右上は後頭下筋群と上部僧帽筋の硬化、左下は胸筋の硬化を表します。
それぞれを結ぶと、ちょうど×の字のように交差するので、交差症候群、そして身体の下部にも同じようなものがあることから、こちらを上位交差症候群と呼びます。
施術していくとき、硬いところや短くなったところは、手技でなんとかほぐして柔らかく、そしてストレッチして伸ばすことができます。
しかし、どんな手技をもってしても、唯一できないことがあるのです。それが、弱い(神経学的に弱いことではない)筋肉を強くすることです。
これだけは、自分で動かすしかありません。一部EMSのような電気刺激装置がありますが、それでも筋肉が動いているのです。自分の身体が自分で動いています。
ですので、上の図にあるように、筋力が低下しているところは使って動かして強くするしかないのです。整骨院・接骨院などで寝ていても強くなることはありません。
また、この短縮や硬化している筋肉だけをほぐしたところで、問題は解決しないのです。マッサージは気持ちいいですが、問題の先送りにすぎません。
長期的に健康を獲得するには、筋肉を動かすしかないのです。
さて、当院でもこのような上位交差症候群の方がいらっしゃいます。
それには、上述したThe Janda Approachなどを利用して、本当に改善へ向けて指導を行います。
上の左側は施術前です。右側は数回の施術を行って、次に来た時の施術前の写真です。
施術前というのが大切です。
よく、施術直後の写真を載せているところが多く見受けられますが、一時的な効果は簡単に出せます。
大切なのは、その効果がどこまで維持できるのか?ということです。
ですから、上の右側の写真はあえて施術前に撮影してあるのです。
このように The Janda Approachの考え方を取り入れて施術をしています。
しかし、先ほど述べた「上位交差症候群」だけをターゲットにしていても、改善は芳しくありません。
そうです。体は上半身だけで成り立っているのではなく、下半身もあるからです。