私の視点 ~ 産後のけんしょう炎・ばね指 ~
2018年 11月 30日
今年の冬は暖冬と言われていますね。
寒さに弱い人には朗報と言えます。健康にとってもあまり寒くないほうがいいですね。
三田市、神戸市、西宮市で産後ケアのパイオニアとして活動をしております、もみの木治療院です。
今回は産後の変化とは言い切れないですが、産後の多いお悩みのひとつ、腱鞘炎・ばね指を取り上げます。
○腱鞘炎の腱鞘って?
指を動かす筋肉のほとんどは前腕にあります。手首から肘の間にあるということです。
この前腕にある筋肉の先が白いひものようなもの(腱)になって、手へと伸びています。
それぞれの指の上にコードのようなものがあるのが分かります。
これが腱と呼ばれるものです。
指先ではそれぞればらばらですが、手首の辺りで集まって、前腕へと伸びていくのが分かります。
そして前腕で一つになって筋肉につながっています。
さて、この絵の人差し指をみたら、腱が浮いてますね。
実際の人体では浮いていません。
ちゃんと浮かないように、腱を押さえておく仕組みがあります。それが腱鞘(けんしょう)です。
刀の鞘(さや)ですね。刀が鞘に収まっているように、腱も腱鞘の中を通っています。
○腱鞘炎とは?
さて、この腱や腱鞘に炎症が起こることを腱炎、腱鞘炎といいます。
上の絵は指を横からみています。
黄色のトンネルの中を緑と青のひもが通っていますね。
この緑と青のひもが腱に当たります。そして、黄色いトンネルが腱鞘です。
この腱鞘や腱がこすれすぎたり、微細な損傷が起こって炎症となる病態を腱鞘炎や腱炎と言います。
○ばね指とは?
前述の腱鞘炎が生じる過程で、腱が炎症によりふくらむことがあります。
指を曲げ伸ばしするときに、腱鞘でひっかかる現象(弾発現象)が起こるものをばね指といいます。
指を伸ばした状態の絵です。赤く肥厚しているのは腱の一部です。
この指を曲げたら下の絵になります。
赤い肥厚したところが、手首よりの腱鞘のトンネルをくぐった様子です。
このくぐるときに、赤い腱の肥厚したところがトンネルより大きくなるから、ひっかかるのです。
この現象が「ばね指」と言われるものです。
○なぜ産後になりやすいの?
産後では
① 育児で手や指を使い過ぎる
② 産後のホルモンバランスによる
と言われています。
しかし、これもまた罹患する人やしない人がいます。
罹患しても軽症ですむ人や、重症化する人がいます。
何が違うのでしょうか? 個体差や使う程度によると言ってしまえばそれまでです。
当院はそこからさらに切り込みます。
○本当に使いすぎだけが原因か?
赤ちゃんほどの重量のものを、ずっと持ち上げるということをしている女性は少ないです。
ですので、確かに育児での過労ということは否定できません。
しかし、これもまたなる人とならない人の違いを考えてみましょう。
中年以降の女性にも多い腱鞘炎やばね指です。
その方たちは育児をしている訳ではありません。
そんなに重いものを持っていないのに罹患する人もいます。パソコンのキーを打っていてなる人もいるくらいです。
では、何が違うのでしょうか?
答えは前腕を触診すると見えてきます。
筋肉の使い方が間違っているケースが多くあります。
たとえば、釣竿を思い浮かべてください。
小さい魚だとそれほど頑丈な竿はいりません。しかし、大物を釣ろうと思うとかなり頑丈な竿が必要になります。
体の中の筋肉は役割が分かれています。
上の絵でも分かる通り、前腕にもさまざまな筋肉が付着しています。
物を持つとき、重い時に働く筋肉、軽い時に働く筋肉のどちらを優先的に使うかを体は無意識に選択しています。
腱鞘炎やばね指になる人は、赤ちゃんという重量があるものを、軽い時に使う筋肉を使って持っているのです。
すると、たちまち腱鞘や腱が炎症を起こします。
この誤った筋肉を使うパターンを正常に戻さなければいけませんね。
あと、産後のホルモンバランスが崩れる(プロラクチンやプロゲステロン)説がありますが、現在のところ仮説でしかありません。
○どうやって治すのか?
病院へ行くと、まず安静と言われます。サポーターや装具などで安静にします。
そして、炎症がきついとアイシングをする指示が出るかもしれませんね。また湿布もよくある処方です。
さらに、痛みを止める注射を患部に打つこともあります。
注射は患部にうまく当たらないと効果がありません。また、炎症が強すぎると効きが悪くなります。
注射が効かないと、ひっかかる腱鞘を切って開くという手術をします。
上の絵を見てください。腱鞘がスパッと二つに切れていますね。
これで肥厚した腱でも通れるわけです。トンネルがなくなったことになります。
これらはすべて対症療法です。
○当院で行う処置とは?
当院ではオペや注射はもちろんできません。
では、どのようにしてアプローチをするのか?
対症療法と原因療法に分かれています。
患部や硬くなった筋肉にアプローチをするのは対症療法です。
患部には腱鞘のトンネルのすき間を大きくして、肥厚した腱が通りやすくなるような手技を施します。
硬くなった前腕の筋肉は、腱を余計に引っ張るので、リラクゼーションをかけてほぐします。
しかし、これでは対症療法にすぎません。
毎日使う手ですから、対症療法だけではなかなか一進一退を繰り返すのです。治療した後はいいけど、、、となります。
ですので、筋活動パターンを正常化するリハビリテーションを行います。
このような処置を施すことで、腱鞘炎やばね指に対応しています。
もし産後でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院へご相談ください。
施術家の方へ
産後の骨盤矯正を「通常の矯正」と同じような形でされているなら要注意です。
骨盤底筋群について「ただ骨盤の底にある筋肉で産後弱る」くらいしか知らないなら、骨盤底のトレーニングを指導するのは危険です。
骨盤底筋群を「肛門しめて」「尿を止めて」のようなアドバイスしかできないなら、それは素人と同レベルです。
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産後のメンタル面の問題を抜きにして、施術を行っていませんか? ひょっとして施術者とママさんとの心のズレがあるかもしれません。
ボンディング障害になっているかもしれないクライアントと、どのように接しますか?
産後の変化は骨盤矯正だけでは、まず戻せません。マッサージを足しても不十分です。
それは周産期医療を知れば知る程分かります。
もし、目の前のクライアントさんを大切に思うなら、ぜひ当プロコースの講座をお受けください。
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WeLLNeX 産後トータルケア事業部
by firtreeSeikotsu
| 2018-11-30 14:36
| 私の視点 どう考えどう治療するか